LTのスライドつくるのだるい
Keynoteの使い方よくわからないし、なんでこんなものに数千円はらったのか意味がわからない。だいたい、マスタという概念はwebでいうCSSなんだからテキストファイルとして定義できるようにすればいいのに。そうすれば、githubとかで共有できるから、かっこいいスライドのマスタを再利用することができる。そういうところでLTのスライドつくるのがだるくなる。明らかな非効率性を目の前にするとまったく手が進まなくなる。
だるいことは自動化するのがプログラマの美徳なので、土日で自動化を試みた。
cloneして、content.md
というファイルにスライドの内容をmarkdownで書いて、rake
すればHTMLのスライドができる。cssでスライドを自由にデザインできる。面倒なGUIの操作をいちいち覚える必要はなくなった。cssということはそれを共有することで、感じのいいスライドを再利用できる。あの人のスライドで使ってるフォントをいちいち調べる必要もない。
こういうフレームワーク的なものは既にいくつかあって、最初はreveal.jsを使おうと思った。ただ、実際に使ってみると確かにかっこいいアニメーションがついていい感じなんだけど、いくつか不満な点があった。まず、海外で作られたデザインなので、日本語を使うと文字サイズや余白のバランスに違和感を感じる。で、カスタマイズしてみようと思ったんだけど、どこをいじっていいのかわからなかった。いや、これは僕のスキルに問題があるだけかもしれない。実際、sassを使ったりmixinを使ったり工夫がこらしてあった。でも、正直、ここまで複雑で凝ったものはいらなかった。なんでもそうだと思うけど、長く使っていくツールに必要なのは"カスタマイズしやすさ"だと思う。違和感を感じたときにすぐに修正できないとストレスがたまっていって、ずっと使っていくことができなくなる。カスタマイズしやすいツールに必要なのは、疎結合な設計だと思う。設定の変更が及ぼす影響をなるべく小さくしないと、恐ろしくてカスタマイズできない。
というわけでreveal.jsもよかったけど、もっと小さいライブラリを自作することにした。
上のテンプレではこのライブラリを使ってHTMLをスライドっぽくしている。これまでJSのライブラリ(というには小さくておこがましいけど)を作ったことがなかったので、yak-shavingをすることになった。まず生JSはイヤだったのでcoffeescriptで書くことにして、coffeescriptをJSにコンパイルするためにgruntを使った。コンパイルされたJSは自動的にminifyするようにした。ここらへんの環境構築については以下のエントリが参考になった。
昨今のWebアプリケーションのひな形その2 - Grunt - naoyaのはてなダイアリー
で、このライブラリをテンプレで使うためにbowerのレポジトリに登録することにした。これが思ったより簡単でbower.json
を決められたフォーマットで記述して
$ bower register haas.js git://github.com/naoty/haas.js.git
を実行するだけだった。
テンプレの話に戻ると、rakeタスク内でRedcarpetとTiltを使ってmarkdownやhamlをHTML化している。で、そのHTMLを上のhaas.jsでスライドっぽくすることで、なんとかスライドの体裁を整えることはできた。あとは、肝心のデザインをなんとかしなくちゃいけない。デザインについてはCSS難しいしできればどなたかにお願いしたいところではある。というか、それがこのテンプレをgithubで公開する目的なんだけど。
以上のような話を今度のebisu.rbで話すので、参加者の方はあんまり見ないようにお願いします(もう遅い
追記
ebisu.rbで話したので、上のテンプレで作ったスライドを公開します。
todoリストをwebに公開した話
自分が開発したいこと、勉強したいことをwebに公開した。
以前に書いた記事の通り、ここ数週間vimでtodoリストを書くようになった。これがなかなかよくて、.vimrcをいじってtodoリストを書きやすいようにvimをカスタマイズした。GUIアプリだと自由にカスタマイズできなくて、痒いところに手が届かずに使わなくなってしまうケースがあったけど、vimだと自由にいじれるからそういうこともなく長続きしているのだと思う。
そうこうしてるうちに、vimで書いたtodoリストはどんどん増えていった。その中には誰かがやってくれればいいものもあったので、公開していいかと思った。あと、todoリストを買い物リストのように使うことがあって、そういうときに外出先でiPhoneからチェックしたいと思ったのでwebで公開した。viewportを設定してモバイル端末からも見やすいようにした。
公開の仕組みは単純で、todo.mdというファイルをguardで監視して保存されたら自動的にあるスクリプト(下記リンク)とscpが実行されるようにした。このスクリプトはtodo.mdをパースし用意しておいたテンプレートとくっつけてHTML化する。そして、そのHTMLがscpでサーバーにアップロードされる。
あとRedcarpetをちょっと拡張して- [ ]
, - [x]
をチェックボックスに変換するようにした。これはGithub Flavored Markdownで実装されているTask Listの形式を参考にした。
余談
最初はこの仕組みをSinatra、Heroku、Dropbox APIで作ろうとしたのだけど、いろいろ問題があって今の仕組みにいたった。結局「markdownの変換」「scpによるアップロード」の2つを自動化しただけのシンプルな形になった。最近これ以外にも、仕組みを選択する段階で失敗する経験があった。単純な仕組みであるほど問題は少ないし、起きたときに解決しやすいと思った。
「todoリストをテキストファイルとして扱う」というアイデアは、vimを十二分にカスタマイズ可能なtodoアプリとして扱えるようになっただけでなく、今回のようにtodoリストをwebに公開するというところまで行き着いた。なんかで読んだけど、データをテキストとして保存した方が扱いやすいというのが身にしみて理解できたのでよかった。
Androidに乗り換えるかも
自分のために作ったアプリを公開したい場合にiOSはとてもハードルが高い。 仕事でやるなら別にいいんだけど、自分で使うのが主のモチベーションで 「他の人もこれ使ったら便利だと思う」程度のモチベで公開しようとするとそのハードルの高さに愕然とする。 審査が入るから、かなり完成度を高めないと落とされる。 完成度を高めていく作業はけっこう根気がいる。
iOSは審査プロセスもビルドプロセスも複雑で、開発以外の部分で時間をとられるのがむかつく。 なぜかよくわからないけど、Androidはantとかmavenでビルドを自動化するノウハウがたくさんあるのに、 iOSはビルドの自動化に関して情報が少ない気がする。 とりあえずrakeでビルドとTestFlightへのアップロードを自動化したけど、けっこう時間がかかった。
Rakefile for building and uploading to testflight
iOSはAndroidとくらべてUIがキレイというのはある。 だけど、Android2.3なんかと比べるとそうだと思うけど、4以降になるとそんなに気にする程でもなくなったと思う。
今のところiPhone5を使っているけど、片手で使えるNexusシリーズが出たらAndroidに乗り換えると思う。 Android端末はデカすぎる。日本のメーカーはあれだけ小型化・薄型化が好きだったのに、 なんでスマホになると大型化するのか意味がわからない。
mrb_valueについて調べてみた
昨日の続き。
mrubyのソースコードを読むと、mrb_value
という構造体がよく出てくるのでソースコードを追いかけて使い方を調べてみた。参照しているコミット番号は昨日と同じく「9663a7」です。
mrb_valueの定義
// include/mruby/value.h:40 typdef struct mrb_value { union { mrb_float f; void *p; mrb_int i; mrb_sym sym; } value; enum mrb_vtype tt; } mrb_value;
mrb_value
構造体は値とその値のデータ型をもつ。enum mrb_vtype
にはMRB_TT_FIXNUM
とかMRB_TT_STRING
などが入る。value
とtt
は適切な組み合わせにする必要があるはず。
mrb_value
はMRB_NAN_BOXING
が定義されているかどうかでその定義が変わるんだけど、MRB_NAN_BOXING
はmrbconf.hでコメントアウトされていたので、mrb_value
のデフォルトの定義は上のようになる。
// include/mrbconf.h:23 /* represent mrb_value in boxed double; conflict with MRB_USE_FLOAT */ //#define MRB_NAN_BOXING
どういうときにこれを使うのかはまだよくわかってない。
mrb_valueとデータ型の変換
int型、char型などとmrb_value
を変換する方法も調べた。まず、変換する関数によく使われているmrb_value
構造体に値をセットするマクロがある。
// include/mruby/value.h:53 #define MRB_SET_VALUE(o, ttt, attr, v) do {\ (o).tt = ttt;\ (o).attr = v;\ } while (0)
これを使って変換する関数が実装されているっぽい。とりあえず見つけたのは以下の通り。
int
-> mrb_value
// include/mruby/value.h:205 static inline mrb_value mrb_fixnum_value(mrb_int i) { mrb_value v; MRB_SET_VALUE(v, MRB_TT_FIXNUM, value.i, i); return v; }
mrb_value
-> int
// include/mruby/value.h:145 #define mrb_fixnum(o) (o).value.i
float
-> mrb_value
// include/mruby/value.h:58 static inline mrb_value mrb_float_value(mrb_float f) { mrb_value v; MRB_SET_VALUE(v, MRB_TT_FLOAT, value.f, f); return v; }
mrb_value
-> float
// include/mruby/value.h:51 #define mrb_float(o) (o).value.f
char[]
-> mrb_value
// src/string.c:670 char * mrb_string_value_ptr(mrb_state *mrb, mrb_value ptr) { mrb_value str = mrb_str_to_str(mrb, ptr); return RSTRING_PTR(str); }
char[]
-> mrb_value
// src/string.c:232 mrb_value mrb_str_new(mrb_state *mrb, const char *p, size_t len) { struct RString *s; s = str_new(mrb, p, len); return mrb_obj_value(s); }
mrubyで定義したクラスとメソッドをCから呼び出す
mrubyで書いた方がいいところはmrubyで書いてそうじゃないところはCで書く、という開発をするには、Cで定義した関数をRubyから実行させたり、逆にRubyで定義したクラスやメソッドをCから呼び出せるようにする必要があると思った。前者のような実装はmrbgemsを読めばたくさんある一方で、後者の実装は調べたけどあんまりなかった。そこで、先日「Head First C」でCの初歩を学んだことだし、mrubyのソースコードを読みながら後者の「mrubyで定義したクラスとメソッドをCから呼び出す」実装を試行錯誤してみた。
試行錯誤してみてとりあえず動いたというだけで、正しいやり方じゃないかもしれないので、コメントか@naoty_k宛にメッセージをいただけるとありがたいです。また、参照しているmrubyのコミット番号は「9663a7」です。
Rubyのクラスとメソッドを用意
適当にPersonクラスとメソッド2つを用意する。あとでこれらをCから呼び出す。
// person.rb class Person attr_accessor :name, :age def initialize(name, age) @name = name @age = age end def greeting "Hello, my name is #{name}, #{age} years old." end end
mrbcでコンパイル
RubyのファイルをCからロードするにはいくつか方法があるようだけど、今回はmrbcで*.mrb形式にコンパイルしてCからロードするようにする。
$ ls person.rb $ mrbc person.rb $ ls person.mrb person.rb
Cから定義したクラスとメソッドを呼び出す
CからRubyで定義したPerson
インスタンスを生成してgreeting
メソッドの結果を標準出力に表示してみる。
// greeting.c #include <stdio.h> #include <mruby.h> #include <mruby/string.h> int main() { mrb_state* mrb = mrb_open(); // mrubyファイルをロードする FILE *fd = fopen("person.mrb", "r"); mrb_load_irep_file(mrb, fd); // クラスオブジェクトを取得する struct RClass *person = mrb_class_obj_get(mrb, "Person"); // 引数をmrb_valueに変換する mrb_value person_value = mrb_obj_value(person); mrb_value name_value = mrb_str_new(mrb, "naoty", 5); mrb_value age_value = mrb_fixnum_value(25); // Person#newを呼び出す mrb_value naoty = mrb_funcall(mrb, person_value, "new", 2, name_value, age_value); // Person#greetingを呼び出す mrb_value greeting_value = mrb_funcall(mrb, naoty, "greeting", 0); // 返り値をchar*に変換して出力する char *greeting = mrb_string_value_ptr(mrb, greeting_value); printf("%s\n", greeting); mrb_close(mrb); return 0; }
- *.mrb形式のファイルをロードするには
mrb_load_irep_file()
を実行する。 - 次にクラスを取得するには
mrb_class_obj_get()
を実行し、メソッドを呼び出すにはmrb_funcall()
を実行する。 mrb_funcall()
には、第2引数にメソッドのレシーバ、第3引数にメソッド名、第4引数にメソッドの引数の数、第5引数以降にはメソッドの引数を渡す。第2引数と第5引数以降はint
やchar*
などをそのまま渡すことはできなくて、mrb_value
という構造体に変換する必要がある。変換するための関数については長くなりそうなので、別の記事にしようと思う。mrb_funcall()
の返り値もmrb_value
構造体なので、標準出力をするためにchar*
に変換する。
Cをコンパイルして実行
Cのソースコードをmrubyのヘッダーファイルやスタティックライブラリと一緒にコンパイルする。僕の環境だと以下のコマンドでコンパイルできた。
$ gcc -I ~/mruby/include greeting.c ~/mruby/build/host/lib/libmruby.a -lm -o greeting $ ./greeting Hello, my name is naoty, 25 years old.
greeting.cはperson.mrbに依存し、person.mrbはperson.rbに依存しているので、一連のビルドはMakefileかRakefileで自動化したほうがいいと思う。
// Rakefile require "rake/clean" CC = "gcc" MRBC = "mrbc" CLEAN.include("person.mrb") CLOBBER.include("greeting") task default: "greeting" file "greeting" => ["greeting.c", "person.mrb"] do |t| sh "#{CC} -I ~/mruby/include #{t.prerequisites[0]} ~/mruby/build/host/lib/libmruby.a -lm -o #{t.name}" end file "person.mrb" => ["person.rb"] do |t| sh "#{MRBC} #{t.prerequisites[0]}" end
$ rake $ ./greeting
参考
@naoty_k クラスの取り出しはmrb_class_obj_get()、メソッドの呼び出しはmrb_funcall()を使ってください。funcallには派生形あり。
— Yukihiro Matsumotoさん (@yukihiro_matz) 2013年4月30日
Head First Cの感想
以前参加したmrubyの勉強会でC言語でコードを書く機会があってよくわからなかったので、オススメされた「Head First C」を読んでみた。
- 作者: David Griffiths,Dawn Griffiths,中田秀基(監訳),木下哲也
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2013/04/03
- メディア: 大型本
- この商品を含むブログを見る
500ページ超あるんだけどすごくわかりやすくて10日間で読み終わった。Head FirstシリーズはRailsなどいろいろあるのは知ってたけど読んだことなかった。どうやらこのシリーズは科学的なアプローチで分かりやすく書いているみたいで、確かにわかりやすかった。C言語の入門書というとすごい古い本や固っくるしい本が多いような印象があるけど、この本は今月発売されたばかりでかつカジュアルだったので、とっかかりやすかった。
内容はmain()
とかポインタから始まって、最後はマルチプロセスのwebサーバーを作ったりマルチスレッドプログラミングを扱うところまでカバーしてる。やっぱりポインタが鬼門で、何度も読み返したけど80%くらいの理解。文字列ポインタとか配列変数とかで???ってなった。それ以外は本当にわかりやすくてよかった。特にメモリ管理のところはわかりやすかった。普段Rubyとか書いてるとあまりメモリのことは考えないけど、スタックとヒープの区別がついたり、valgrindを使ってメモリリークを調べたりすることでだいぶメモリに対する意識が高まった。また、gccでコンパイルしたりリンクをひとつひとつ丁寧にやることでmakeの有難みを感じた。iOSアプリを開発するとたまに出てくるスタティックリンクライブラリ(lib*.aみたいなの)の正体もわかってよかったし、今後iOSアプリのビルドに失敗しても怯えなくて済みそう。あと、途中のコラムでOpenCVについて簡単な説明があってちょっと興味がわいてきた。Raspberry Piとウェブカメラを買ってOpenCVで遊んでみたいと思った。
vimでTodoリスト
今までいろんなTodo管理アプリを試してきたけど、「GUIアプリほど高機能はいらない」「ターミナル上でtodoを確認したい」という理由でvimでTodoリストを書くようになった。これによるとGithubがGithub Flavored MarkdownにTodoリスト記法を実装したようなので、これに倣ってmarkdownでTodoリストを書くことにした。
todoコマンド
まず、Todoリストを開くコマンドをaliasで定義してみた。これでtodo
でTodoリストを確認できる。さらに、Dropbox上にファイルを置けば複数PCで共有できるので、オフィスのPCとプライベートPCでTodoリストを共用できる。
# .zshrc if [ -e "$HOME/Dropbox" ]; then alias todo="$EDITOR $HOME/Dropbox/.todo.md" else alias todo="$EDITOR $HOME/.todo.md" end
vimでmarkdownを書く準備
次に、vimでmarkdownを書く準備をする。普通に*.mdを開くとmodula2というfiletypeで認識されてしまい、markdownファイルとして見なされないので、便利プラグインをインストールする。
" .vimrc NeoBundle 'tpope/vim-markdown'
折り返しを有効にする
これだけでも十分なんだけど、より使いやすくするための設定を自分なりに考えてみた。まず、一行が長くなるとリストとしては見づらいので、普段は折り返さないけどmarkdownのときだけ折り返すようにしてみた。
" .vim/ftplugin/markdown.vim " 折り返しを有効にする set wrap " 80文字で折り返す set textwidth=80 " マルチバイト文字の場合も折り返しを有効にする set formatoptions+=m
Todoリストを簡単に書く
上でふれたGithubが実装したTodoリスト記法- [ ]
, - [x]
を簡単に入力するための設定も書いた。abbreviateを使うと略記を登録することができる。下の設定ではtl<space>
と入力すると- [ ]
と自動的に変換される。さらに、Todoリストのある行の上で<Leader>
を2回おすと(僕は<Leader>
を<space>
にしてる)、チェックをon/off切り替えられる。
" .vim/ftplugin/markdown.vim " todoリストを簡単に入力する abbreviate tl - [ ] " todoリストのon/offを切り替える nnoremap <buffer> <Leader><Leader> :call ToggleCheckbox()<CR> function! ToggleCheckbox() let l:line = getline('.') if l:line =~ '^\-\s\[\s\]' let l:result = substitute(l:line, '^-\s\[\s\]', '- [x]', '') call setline('.', l:result) elseif l:line =~ '^\-\s\[x\]' let l:result = substitute(l:line, '^-\s\[x\]', '- [ ]', '') call setline('.', l:result) end endfunction
スクリーンショット
普段は下のようにtmuxで画面を分割して小さいウィンドウ(右上)にTodoリストを表示しながら開発している。